徳之島は、鹿児島本土から南へ約470kmの洋上に浮かぶ周囲約89km、面積約248㎢の島です。
徳之島町・天城町・伊仙町の3町からなり、島のほぼ中央に位置する最高峰の井之川岳や犬田布(いぬたぶ)岳、北部の天城(あまぎ)岳周辺には亜熱帯性の照葉樹林が広がっています。
山々のすそ野に広がる平地では、400年以上前に伝えられたとされるサトウキビの栽培が今でも盛んに行われ、人口約22,000人の島の経済を支えています。
徳之島が位置する南西諸島の島々は、1000万年以上前には大陸と繋がっていたとされ、その後の地殻変動で分離や結合を繰り返し、現在の姿になりました。
その後も、他の地域から隔離された歴史は長く続き、取り残された生き物がそれぞれ独自の進化を遂げ、国の特別天然記念物のアマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミなど固有性の高い、多様な動植物が育まれました。
島の周囲に発達したサンゴ礁には、魚類をはじめとする南方特有の多様な海洋生物が生息し、さらに白砂の浜辺はアカウミガメやアオウミガメの上陸地となっており、6月から9月にかけて産卵や孵化が盛んに行われます。
徳之島のこの豊かな生態系や生物多様性は世界的に貴重であると評価され、奄美大島、沖縄島北部、西表島と共に、2021年に世界自然遺産に登録されました。
奄美群島に連なる8つの人の住む島(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)にはそれぞれ誇れる自慢の風景があります。
喜界島といえば、平地いっぱいに広がる緑のサトウキビ畑。奄美大島や加計呂麻島は、深く緑鮮やかな照葉樹林の森。沖永良部島は、地底の世界に広がる神秘的な鍾乳洞。与論島は美しいサンゴ礁と白い砂浜などがイメージされます。
徳之島といえば、熱く燃える闘牛や子宝日本一、泉重千代翁や本郷かまと媼を代表する長寿をイメージする方も多いでしょう。
実は、徳之島は奄美の島々の自慢の風景が、丸ごと全部見られる贅沢な島でもあります。
さらに、徳之島は、アマミノクロウサギが生息する原生林の森や、琉球文化と大和文化がミックスした特有の伝統文化が残る集落など、島のどこからでも1時間以内で行けるため、さまざまなエコツアーを気軽に楽しむことが出来ます。
人情味あふれるおじいちゃんや愉快なおばあちゃん、元気いっぱいの子ども達など、島人との出会いと交流も楽しみのひとつです。知れば知るほど奥深くおもしろい島です。
世界地図にも載らないほど小さな島には、世界に名高いグランドキャニオンや、グレートバ リアリーフなどのような壮大な自然の凄さはありません。
しかし、この価値ある豊かな自然と人の暮らしは隣り合わせにあり、約3万年もの長い間ともに栄え営まれ続けています。
世界中にある世界自然遺産とは一味違う、自然の素晴らしさがこの徳之島にあります。