特定外来生物シロアゴガエル初確認


先週から梅雨入りした徳之島では、今日も朝から大雨が降っています。

雨の日は、夜になるとカエルたちの大合唱がそこかしこで響き、池の周辺や森はとても賑やかです。

そんなカエルたちが活発な季節に、徳之島で大きな大きな問題が発生してしまいました。

このたび、特定外来生物のシロアゴガエルが徳之島で初めて確認されました。

当会の会員である理科教諭の中尾真一先生が8日、徳之島町徳和瀬で見慣れないカエルに気づき、「シロアゴガエルでしょうか?」と問合せをしてきたことがきっかけでした。

専門家に確認をし、16日に同種であることが判明。

「世界自然遺産登録後に特定外来生物が確認された」という衝撃的な状況に、当会は上を下への大騒ぎになりました。

会員から調査作業者を募り環境省と合同で、土日返上で昼間と夜間に徳和瀬の周辺地域を調査した結果、徳之島町の亀徳、徳和瀬、諸田、井之川地区で生息を確認。

既に産卵シーズンが始まっていることもあり、泡状の卵塊がいくつも確認されました。

今回確認された地域だけでなく、港や里、山間部など他の地域への侵入も心配されており、今後より詳細な調査を進めていく必要があります。

シロアゴガエルは白や茶など個体差がありますが、人間でいう唇の部分が白いのが特徴です。

繁殖期間は4~10月で、ひとつの泡巣に200~400個程度の卵が入っており、期間中は何度も産卵を繰り返すとされています。

沖縄での分布拡大期には、ヒメハブの食性や行動が変化したというヘビ研究の専門家の意見もあり、カエルだけでなく島の生態系に大きく影響することが心配されます。

しかしながら、特定外来生物は生きたまま許可なく運搬することが禁じられているため、駆除は簡単ではありません。

今回の初確認を受け、「世界自然遺産に登録されている徳之島で…」という報道が、地元にとどまらず、秋田、岩手、東京、静岡、徳島、佐賀…と全国的に広く取り上げられています。

遺産登録地への特定外来生物の侵入・定着というのは、それだけ深刻な問題だということです。

IUCNから指導などが入るのではないかという心配もあります。

世界自然遺産の島に住む私たちには何ができるでしょうか。

徳之島の対応・取り組みは今後、全国から注目されることになります。

当会のような一民間団体だけが動くには限界があります。

国、県、町、自然保護協議会などが連携・協力し早期に対応する必要があるのです。

そして何より、島民の皆さん一人ひとりが「知る」こと、「行動する」ことが大きな結果につながります。

皆さんの住んでいる地域でシロアゴガエルを発見した際には、お知らせください。

島の宝を守るため、危険な外来生物を早期に撲滅できるよう、島民が一丸となって取り組んでいけたらと思います。